染色体欠失などによりその働きが失われると細胞をがん化させる一群の遺伝子を、がん抑制遺伝子という。これら遺伝子は、正常細胞では細胞分化や機能維持に働いている。がん抑制遺伝子として最初に認められたのは、網膜芽細胞腫からとれたRb遺伝子であるが、その後17番染色体短腕にあるp53がん抑制遺伝子やウィルムス腫瘍(WT1)、大腸がん(DCCやAPC)、家族性乳がん(BRCA-1)、神経繊維腫1型および2型(NF1とNF2)、腎臓がん(VHL)などから発見された。がん抑制遺伝子として、Rbやp53のように核内たんぱく質として、細胞増殖を直接止めるものもあれば、DCCやAPCのように細胞質や細胞膜で働くものもある。