商品名を「ネクサバール(Nexavar)」と称する、抗がん剤である。2008年4月から根治切除不能、または転移を有する腎細胞がんの治療薬として販売されており、09年5月には、切除不能の肝細胞がんへも適応されるようになった。がん細胞の増殖や血管新生に関係している、2種類のキナーゼ群を阻害して、がんの増殖や血管新生を促すシグナル伝達を、分子レベルで妨げる、分子標的治療薬である。通常の抗がん剤に見られるような、骨髄抑制による血液の異常は少ないが、時に痛みをともなう皮疹や赤斑が、手のひらや足の裏に現れる手足症候群のような皮膚症状や、高血圧、出血といった特異的な副作用が、半数以上の人で見られる。因果関係の否定できない死亡症例も報告されており、処方は副作用への緊急対応が可能な医療機関に限定される。