絨毛(じゅうもう)は妊娠時にできる胎盤の外側から、子宮壁へ入り込むように形成される、細く密生した糸状の組織。この絨毛に発生する病気が、絨毛性疾患である。胞状奇胎(ほうじょうきたい)と絨毛がんに分けられ、妊娠の後で子宮内に起こる。発生頻度は極めて低く、日本産科婦人科学会腫瘍登録委員会の2002年の報告では、胞状奇胎は1000分娩あたり1.33、絨毛がんは0.22とされている。胞状奇胎後の絨毛がん発生は、減少してはきているものの、30~50%はそれが先行している。胞状奇胎は特殊なものを除き、ほかの臓器へ転移することはないが、絨毛がんは子宮外の他臓器へ転移する。血液中βhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ鎖)の異常高値により、本疾患を疑うことになる。化学療法が奏効するようになり、80~90%の寛解(かんかい ; 一時的に快方に向かう)率が得られている。