交感神経節や副腎髄質から発生するがん。小児がんでは代表的固形腫瘍であり、白血病、脳腫瘍に次いで多く、年間の発症者数は約200~250人。自然に退縮するものもあれば、再発を繰り返すもの、治療に抵抗を示すものなど、さまざまである。腹部に腫瘤を触知したり、骨髄への転移による貧血や出血などの症状で判明する場合もある。診断は尿中のバニリルマンデル酸(VMA)やホモバニリル酸(HVA)濃度、血中神経特異性エノラーゼの数値測定などでなされる。発症年齢、病期、病理組織学的分類、MYCN遺伝子増幅の有無、腫瘍細胞の染色体数などを組み合わせて、低リスク群、中間リスク群、高リスク群に分類され、おのおのの治療法が層別化されている。低リスク群では腫瘍が切除されれば、遺残があっても軽度の化学療法で生存率は90%を超える。高リスク群では多剤併用化学療法が行われ、腫瘍を縮小した後に手術し、さらに自家造血幹細胞移植を併用した超大量の高用量化学療法が行われることになる。集学的治療で生存率が向上してきたが、高リスク群での生存率は約50%程度である。