毛と爪は、皮膚を作る表皮が角質化して生じたものである。角質化は、上皮細胞の内部にケラチンというたんぱく類が蓄積して、細胞が死滅し硬くなる現象で、毛と爪にはケラチンが集積している。毛は、ほ乳類の体表に突き出た細い糸状の構造で、体温の保持と体表面の保護の働きをしている。人では手掌と足底を除いて、全身に毛が生えているが、頭部、陰部、眉など特定の部位以外は、きわめて細いため、皮膚が露出して見える。爪は、は虫類・鳥類・ほ乳類の指先の背面に生じた固い板状の構造で、指先を補強する働きをしている。人やサルの爪は、平たい平爪であるが、多くの動物では、先端が下に曲がって鋭くとがった鉤爪である。またウマなどの奇蹄類(きているい)や、ウシ・ブタなどの偶蹄類(ぐうているい)では、厚く大きい蹄(ひづめ)になり、土を蹴って走行するのに適している。爪は、皮膚の派生物なので、骨とのつながりがない。そのため爪がはがれても、爪を作る皮膚領域が残っていれば、再生することができる。