体内での熱産生と、体表からの放熱のバランスをとって体温を保つこと。人間の体温は生まれてから死ぬまで37℃付近に保たれているが、食物として摂取したエネルギーのうち筋肉を動かすなどの仕事に使われるのは20%程度で、残りはほぼ熱になる。安静時でも、栄養の消化・吸収のために熱産生は増加する。このような生命活動を維持するために消費されるエネルギーを基礎代謝といい、1日あたり成人男性1500 キロカロリー、成人女性1200 キロカロリーほどである。運動を行うと筋肉の活動のため熱産生が増え、激しい運動時は安静時の10~15倍になる。寒い時に起こる身体の震えは、熱を産生するため骨格筋が不随意的に収縮するものである。乳幼児は褐色脂肪組織が発達しており、とくに熱を多く産生して体温を調節する働きをしている。熱の放散の調節は、主に皮膚の血流量の増減によって行われ、寒冷時には皮膚の血管が交感神経の刺激で収縮し、体表からの放熱を制限する。また、温熱時には汗腺からの発汗により、皮膚の表面から汗が蒸発して効果的に放熱を行う。