人体からの排泄物には大便と小便があるが、その由来はまったく別物である。大便は、飲食物を消化管で処理した残りかすで、直腸にしばらくたまっているが、1日1回ほど肛門から排出される。大便の黄褐色のもとは、肝臓から分泌される胆汁に含まれるビリルビンであり、これが腸内細菌によって分解されてウロビリンとなったものである。大便のにおいのもとは、アミノ酸の一種のトリプトファンが細菌によって分解されてできるスカトールやインドールであり、おならのにおいのもとも同様である。小便(尿)は腎臓で作られ、膀胱にしばらくためられた後、1日に数回尿道から排出される。健康な人が出したばかりの尿は清潔であるが、尿の成分の尿素が細菌によって分解されるとアンモニアが生じてくさくなる。尿の色のもとは、腸の中でできたビリルビンの分解産物が腸から吸収されたもので、ウロクロームと呼ばれる。尿の色は、肝臓の機能、尿の量、全身の代謝状態などさまざまな要素が関わるので、健康状態を判定する手がかりにはなりにくい。