頸(くび)のつけ根部分から頭部にかけての筋。頭は頸椎(けいつい)を動かして位置や向きを変えるが、その際に脊柱の後面にある固有背筋(こゆうはいきん)が頭を脊柱の上に引き上げ、頸の前面を斜めに横切る胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が頭を傾ける働きをする。頭部には、眼と口を動かす筋がある。眼窩(がんか)の中に納まった眼球は、6個の筋によって上下左右に向きを変える。まぶたを開くのは眼窩内にある筋、閉じるのは周りの皮膚にある眼輪筋(がんりんきん)の働き。顎を閉じて歯をかみしめるのは頭蓋(とうがい)と下顎骨(かがくこつ)をつなぐ咀嚼筋(そしゃくきん)、開くのは下顎骨につながる頸の筋の働き。唇とほおを動かすのは、口の周りの皮膚にある口輪筋(こうりんきん)や頬筋(きょうきん)の働きである。顔の皮膚には、ほかにも薄い筋があり、その働きから表情筋(ひょうじょうきん)と呼ばれる。口の中の舌は筋の塊である。舌は強靱(きょうじん)な結合組織で包まれており、内部では筋線維が上下・前後・左右方向に配置している。舌の筋が収縮すると舌は形を変え、伸びたり縮んだりといった動きが可能になる。