糸球体は毛細血管の集まりで、ネフロンの始まりの部分に位置する。糸球体では最初の尿が濾過されて、周りを覆う杯状の袋(ボウマン嚢)を通して尿細管に流しこまれる。糸球体の中心部にはメサンギウムという特殊な結合組織があって、糸球体を支えている。毛細血管の壁の一部はメサンギウムに接するが、大半の部分は薄い壁を隔てて杯状のボウマン嚢の内腔に向かう。この薄い壁を通して濾過が行われ、最初の尿ができる。濾過のフィルターは血管内皮細胞、糸球体基底膜、足細胞の3層からできている。糸球体と杯状のボウマン嚢を合わせて腎小体(renal corpuscle)とよぶ。ボウマン嚢の杯の口の部分からは糸球体に血管が出入りするので血管極とよばれ、柄の部分は尿細管につながるので尿細管極とよばれる。糸球体血管極は、髄質から戻ってきた同じネフロンの遠位尿細管と接触する。遠位尿細管の液の組成や流量により、ある種の信号が糸球体に出入りする血管やメサンギウムに送られて、糸球体での濾過量が調節される現象(尿細管‐糸球体フィードバック)が知られており、これにかかわる構造をまとめて傍糸球体装置とよぶ。