尿細管の上皮は、ナトリウム‐カリウムポンプが基底側細胞膜にあるため、尿を薄める方向にナトリウムを輸送する。尿細管のこの性質を利用して逆に尿を濃縮するために、腎臓は髄質という構造を発達させた。髄質の間質の浸透圧は乳頭の先端に向かって高くなる。尿は髄質集合管を通り抜ける間に、間質の高浸透圧により水分を抜かれ、濃縮される。髄質のある鳥類と哺乳類の腎臓だけが、尿を濃縮する能力をもつ。髄質に浸透圧勾配を作る主役は、ヘンレループの作る対向流増幅系である。ループの下行脚では中の尿は徐々に濃縮され、上行脚では逆に尿は希釈される。その結果、高浸透圧がループの先端部に蓄積される。最近の説では、ループの両脚の希釈/濃縮能は、能動輸送によるのではなく、水とナトリウムと尿素に対する透過性の差異に基づく受動的なものであるとされ、髄質の間質にたまった尿素が、ループ上行脚に入って尿細管の中を集合管にまで流れ、そこから再び髄質の間質に出るという、尿素の再循環が重要視されている。