正常人の尿に含まれるたんぱくはきわめて微量である(1日20~80ミリグラム)。腎臓は、二つの仕組みにより、尿中にたんぱくがもれ出るのを防いでいる。第1は糸球体の濾過フィルターのたんぱくを通しにくい性質による。血漿中で最も分子量の小さいアルブミンでさえわずか0.5~1%しかフィルターを通過しない。第2の仕組みは近位尿細管細胞が持つ、たんぱくを細胞内に取り込んで消化する能力である。生理的な状態で糸球体を通過する程度のたんぱくは、近位尿細管でほとんど再吸収されてしまう。たんぱく尿の原因はいくつかあるが、そのうち最も頻度が高くかつ重要なのは、糸球体の濾過フィルターに異常が生じて、たんぱくを通しやすくなった場合である。ネフローゼ症候群や糸球体腎炎によるたんぱく尿がこれにあたる。