ニューロンの軸索突起は興奮を伝導するだけでなく、その中の細胞質の成分を、細胞体から軸索終末に向かって(順行性)、あるいはその逆の方向に(逆行性)、輸送する働きがある。これを軸索輸送という。軸索内を順行性に輸送されるものは、細胞体で合成されたたんぱくや、ミトコンドリア、小胞体のような細胞小器官などである。また逆行性には、細胞成分などを処理するリソゾームやその消化産物が輸送される。これらの輸送は軸索内の微小管をコルヒチンで破壊すると止まってしまう。微小管自身もごくゆっくりとではあるが(1日に1~5ミリ)順行性に輸送されている。軸索輸送により、シナプスの構造や機能が維持されるだけでなく、必要に応じて軸索の成長も行われる。さらに軸索輸送で運ばれる標識物質を用いて、神経回路を追跡することができる。