人体の機能を大別すると、筋の運動や皮膚の知覚のような動物的機能と、生命維持に直接かかわる植物的機能に分けることができる。体性神経は前者を、自律神経は後者を支配するものである。自律神経は、中枢から効果器に至るまでの間に、途中の神経節でニューロンを乗りかえる。中枢から神経節までを節前ニューロン、神経節から効果器までを節後ニューロンという。自律神経には交感神経(sympathetic nerve)と副交感神経(parasympathetic nerve)があり、多くの場合に両者は拮抗的に作用する。交感神経は心拍数をふやし、血圧を高め、消化管の運動を抑制するなど、全身を興奮ないし活動準備状態にする。副交感神経はほぼ逆の作用をもち、休息時に働く。交感神経の節後ニューロンの伝達物質はおおむねノルアドレナリンで、一部アセチルコリンであり、副交感神経の節後ニューロンではアセチルコリンが伝達物質である。