細胞は、神経伝達物質やホルモンなどさまざまな刺激に反応して、活動を調節する。細胞膜には、信号を受け取るためのさまざまな受容体がある。信号を受け取った受容体は、チャネルを開いてイオンなどを通したり、酵素として働いて物質を修飾したりといった反応をする。信号を受け取った受容体が引き起こす反応に、3種類の代表的なものがある。(1)アデニル酸シクラーゼを活性化して、ATPからサイクリックAMP(cAMP)を生成する。(2)フォスフォリパーゼCを活性化して、細胞膜の特定のリン脂質からイノシトール三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)を生成する。(3)チャネルを開いて、細胞質内のカルシウムイオン濃度を上げる。第2の反応で作られたIP3は、細胞内の滑面小胞体に蓄えられたカルシウムイオンを、細胞質内に動員する働きがある。結局、cAMP、IP3、DG、カルシウムイオンの4種類の物質が、細胞質内に情報を伝えるのに、広く用いられている。そういった情報が細胞の構造や機能の変化に反映される際に、さまざまなたんぱく質の特定のアミノ酸がリン酸化され、そのたんぱく質の活性が調節される例が、多数報告されている。