高齢者になると腎臓の機能が衰えていくのは、機能の中心である糸球体に、多少の無理がかかっている結果である。糸球体は血液から尿を濾過する装置であり、毛細血管の中に高い血圧を抱えている。この毛細血管壁の局所的な破壊と修復の結果、糸球体硬化(glomerular sclerosis)が起こる。さらにいくつかの糸球体が完全に壊れると、残りの糸球体に負担がかかって、ますます硬化が進む。こうして年齢が進み、さらに炎症が加わったりすると、機能する糸球体の数は急速に減っていく。50歳をこえると、正常でも10%程度の糸球体に硬化の見られることがある。糸球体が減ると、糸球体濾過量も減ってくる。排尿路の方にも、高齢の男性で障害が見られる。尿道の途中にある前立腺(prostate)は、50歳代で50%の人に肥大が見られる。肥大した前立腺は尿道を狭窄し、排尿にかかる時間を長くしたり、残尿を起こして夜間頻尿を起こしたりする。