生殖補助医療に使用することを目的に、卵子を提供する女性を登録する組織の設立計画のこと。日本では、第三者から卵子や精子の提供を受けて体外受精を行うことは、厚生労働省も日本産科婦人科学会も認めていない。そのため、アメリカなどの普及国に渡航して、商業目的の卵子バンクから卵子の提供を受け、体外受精を行うなどの実態がある。そのような状況にあって、体外受精などの生殖補助医療を推進している団体である、日本生殖補助医療標準化機関(JISART)が、2009年8月、独自に卵子を無償提供する女性を登録する、卵子バンクの設立を決めた。また同機関は、第三者からの卵子や精子を使用する体外受精実施のための指針を、厚生労働省や日本産科婦人科学会とは別に定めている。これらの活動は、現状に対する積極的な対応として注目されるが、生殖補助医療をめぐる、子どもの出自を知る権利、精神的ケア、親子関係の法的見直しなどの倫理的・法的問題への対策が整っていない状況では、拙速は避けなければならない。厚生労働省や日本産科婦人科学会は、このような動きに対して、法制化ができるまで控えるように呼びかけているが、法制化の道筋は不明確なままである。