体外に取り出された卵巣が凍結保存されている状態。がんなどの治療法である放射線療法や化学療法を行う前に、影響を受けやすい卵巣をあらかじめ体外に取り出し、治療後に改めて移植して機能を回復させることに利用する。凍結精子の場合と同様に生殖補助技術が現実化してきた一例である。2004年6月にベルギーのルーバン・カトリック大学病院で、がん治療前に卵巣組織を凍結した女性が移植手術を受けて妊娠したことが明らかにされた。しかし、本人が閉経した後の利用、本人以外の人への移植などが可能になれば、倫理的な問題が生じてくる。日本不妊学会ではがん治療前の精子の凍結保存は認めているが、卵子や卵巣については技術が確立していないとして認めていない。