凍結精子とは、全身放射線照射療法による影響を回避することや、人工授精や体外受精などの生殖補助技術に用いることを目的に、あらかじめ凍結保存(-196℃の液体窒素内に保存)されている精子のこと。これを生殖補助技術に用いることについては、第三者への提供、保存期間、提供者のプライバシー、生まれてくる子どもの権利などとの関係を考慮すると問題が複雑になる。そのような問題は、倫理的にも法的にも議論されてきたものの、生殖補助技術に関して日本では法制化にはいまだ至っておらず、現実には現場での技術使用に対して社会的対応の不備が指摘されている。そのような中、生殖補助医療に使用する精子の凍結期間や提供者の死後の扱いについては日本産科婦人科学会で議論され、07年4月に会告で、精子を提供した夫の生存期間に限り、死後は廃棄するとした(→「死後生殖」)。