死後生殖とは精子(卵子)の提供者が死亡した後、保存されていた精子(卵子)を用いて人工授精を行うこと。2001年5月、夫の死後に凍結精子を用いた人工受精で妻が出産した子どもについて、亡夫の子として認知を求める裁判が起こされ、03年11月の一審では認められなかったが04年7月の控訴審(高松高等裁判所)では逆に認められた。しかし、06年9月の上告審判決では認知を認めた二審判決を破棄し、「民法は死後の懐妊で生まれた子と死亡した父との間の親子関係は想定していない」といった理由から、法的な父子関係は認めないとする判決が確定した。なお、07年4月、日本産科婦人科学会は会告で、凍結精子は夫の存命中に妻だけが利用できるとし、提供者の男性が死亡した時点で廃棄することとし、未婚の男性の場合も精子の凍結保存は存命中に限定、凍結精子の売買も禁止した。しかしながら、これらの会告に法的拘束力はなく、生殖補助技術の開発に社会が対応できていない状態が依然として続いている。