腎臓がんやネフローゼなどの患者から治療の一環として摘出された腎臓、すなわち「病気腎」を他の患者へ移植すること。肝臓については、肝臓移植を受けた患者から摘出した肝臓を他の患者へ移植する、ドミノ移植が知られていたが、病気腎については治療としての効果に医学的に問題があるとされていたこともあり、行われていなかった。しかしながら、2006年10月に、腎臓移植をめぐる臓器売買事件が愛媛県の病院で発覚、その捜査の過程で病気腎移植が行われていたことが判明した。医師は病気腎移植によって害はなかったとの実績を強調し、病気腎移植の正当性を主張したが、日本移植学会は、病気腎の移植治療への利用は医学的に問題があるとした。また、その医師と病気腎の提供病院の医師たちがグループを形成し、瀬戸内海周辺の病院でネットワークを形成していたことも明らかになった。このグループは医師たちの間では「瀬戸内グループ」と呼ばれ知られていたが、その問題性が他の医師から公にされることもなく、続けられていた。