「患者の権利」を求める運動は、世界的に見ると1960年代のアメリカにおいて、消費者運動や黒人の公民権獲得運動、ウーマンリブ運動などの人権運動に連動して生まれてきた。特に、73年にアメリカ病院協会によって採択された「患者の権利章典」は、アメリカでの新しい医療を求める記念碑でもあった。このような患者の権利は、国際的にも市民の権利として認められていき、国連の人権宣言などとも呼応し、患者の権利はグローバルな課題として、世界保健機関(WHO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)などは多くの国際会議を開催し、患者の権利を医療、医学研究などで尊重されるべきものとして、具体的に実現されるように、宣言や指針を提唱してきた。患者の権利は具体的には、自己決定権、知る権利、自己情報のコントロール権としての「プライバシー権」、苦情を申し立てる権利など具体的に展開されてきており、それらがインフォームド・コンセント、倫理委員会、カルテ開示などの制度となって実践されている。