後期高齢者とは日本国民の中で、75歳以上に達した人。2008年4月より運用が始まった「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」への加入基準として、国が決めた呼称である。この制度は国民全体にかかる医療費のうち、高齢者の割合が突出していたため、高齢化社会における医療費抑制政策という意味合いで始められた。しかし、開始以前からさまざまな問題点が指摘され、年金からの保険料徴収など、社会保障制度面で多くの議論がなされた。そのうち、制度の意義や実施方法について、加入者はもちろん、医療者側も理解不足であるといわれたのが「終末期相談支援料」である。何らかの病気を持つ加入者について、回復の見込みが薄いと医師が判断した場合、本人と相談し、その終末期医療の内容を決定するという制度だが、同時に過度の治療にかかる医療費を患者に自覚させ、医療費抑制を目的としていることが明白だった。患者の自己決定の尊重、QOL(生活の質)という理念も背景に存在しただろうが、不十分な説明などの批判が絶えず、厚生労働省は中央社会保険医療協議会に諮問し、08年7月1日をもって運用を凍結した。