高度な先端医療技術が受けられる体制を整え、海外から広く受診者を受け入れようとする、新しい医療界の動き。近年、医療のグローバル化にともなって使われ始めた言葉で、とくにシンガポールやタイにおいて顕著である。産業として医療を推進することも特徴的であり、それは海外の富裕層を対象にしていることからもうかがえる。このような傾向は、韓国、台湾などの新興国のほか中国、インドなど経済発展が著しいアジアの諸国でも活発化している。それに対して日本では、医療ツーリズムを、狭義に臓器移植や生殖補助医療を目的とした海外渡航ととらえ、批判的に論じられることもある。しかしながら、日本をとりまくアジア諸国の動向は、日本に対して医療ツーリズムについて考え直す必要性を求めているといえる。