第三者から卵や精子の提供を受けて人工授精、体外受精、代理懐胎を行うこと。日本には生殖補助技術を規制する法律がなく、日本産科婦人科学会が、会告という形で会員に規制をうながしてきた。しかし、それは学会の自主規制であるため法的罰則はない。たとえば会告では当初、夫婦以外の第三者から提供された卵や精子を使った体外受精や、夫婦間で作成した受精卵(胚)を妻以外の女性の子宮に移植する代理出産(代理懐胎)などは認めないとしていたが、実施例の表面化にともない、会告が見直された。現在では、年間約1万5000人以上の体外受精児が誕生する状況となり、その是非を論ずるより、生まれた子どもが出自を知る権利や、福祉制度の整備などが課題となっている。かつて政府は2000年をめどに法制化をめざしたが、議論が後追いに終始しており、問題の顕在化に反して対応策はとられていない。10年には、AID(非配偶者間人工授精)によって生まれた人や、その研究者などが「第三者の関わる生殖技術について考える会」を発足させ、問題を抱える当事者からの積極的な動きが見られるようになった。