国立がん研究センターのグループが作成に成功した、人工の肝臓幹細胞。誘導肝幹細胞ともいい、2010年9月に学会で発表された。ヒトの皮膚や胃の細胞に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作成時に使用する遺伝子を導入し、培養したところ、アルブミンなどのたんぱく質を作る肝臓細胞の特徴をもった細胞ができた。肝臓の細胞を作り出す幹細胞として、無限に増殖する能力をもつ。元来、幹細胞は体外で培養することや、iPS細胞から作ることも難しかったので、将来的には肝臓病の治療薬や、肝炎ウィルス研究への応用で期待されている。また、肝臓移植をめぐり、脳死下あるいは生体からの臓器提供ではなく、培養した肝臓組織を利用することによって倫理面の問題も軽減できる可能性も指摘されている。