生殖補助医療にともなって起こりうる医療事故の一つ。2009年2月、香川県内の病院で体外受精施術の際に、医師が他人の受精卵を間違えて子宮に移植した可能性が発覚し、人工妊娠中絶に至った事件が報じられた。また本件では、人工妊娠中絶に至るまでの確認手段として、羊水検査より早期にできる絨毛検査を十分に検討しなかったことも問題視された。さらに、異なる夫婦からの複数の受精卵が同一の机の上で取り扱われていたことや、医師とは別に、エンブリオロジスト(胚培養士)と呼ばれる技術者が受精の操作を行っていることなどが相次いで発覚。人工授精や体外受精などの医療現場の不整備体制が問われ、生命倫理的な議論も向けられた。