性同一性障害のため性別を変更した人、またその配偶者が、子どもをもうけるために行う人工授精。2009年11月、性同一性障害で男性に戸籍変更した人と結婚した女性が、第三者の精子による人工授精で子どもを生んだところ、法務省は「夫は戸籍上は男性でも、生物学的に女性である」として、非嫡出子扱いにするよう指導した。しかしその後、同省が見解を見直しする検討に入ったため、11年2月、日本産科婦人科学会は、性同一性障害者の非配偶者間人工授精は嫡出子としては認められていないことの説明などを行い、慎重に対応することを会員に通知した。民法772条において、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する、とされていることや、生来男性である夫の場合は、妻が第三者の精子による人工授精で出産した子どもでも嫡出子として認められている現状との整合性が問題にされている。