iPS細胞(人工多能性幹細胞)を、患者の病気治療に応用して、効果を調べる実験のこと。iPS細胞を再生医療の進歩に寄与させるには、ヒトの細胞から作られたiPS細胞を使って、実際に治療を行ってみることが必要である。そこで2013年6月、理化学研究所の研究チームが申請した加齢黄斑変性の臨床研究計画を、厚生労働省の審査委員会が条件付きで了承。翌月には厚生労働大臣によって、実施計画が正式に承認された。加齢黄斑変性は、網膜の中心にある黄斑部が障害を受け、視力が低下する難病である。臨床研究の内容では、患者6人を選定し、その皮膚の細胞からiPS細胞を作成、網膜色素上皮細胞に分化させ、移植治療を行うとしている。こうした初の試みが了承された理由は、iPS細胞による治療で心配される「がん化」が起こりにくいこと、万一がん化しても、移植部位が小さいため対応が可能であること、があげられている。