終末期にあって回復見込みがない患者に対する延命治療を、中止するための手続きを示した指針。正式名称は「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン~3学会からの提言」。2014年11月、日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会の3学会が、それまで別々に定めていた延命治療中止に関する指針を統一した。死期が迫った終末期の患者への治療は、医療技術が発達して延命が可能となってきた一方で、患者に積極的な延命が本当に必要なのか、どのような状態になったら治療を中止してよいか、が臨床現場で問題とされてきた。そのような背景から、07年5月に厚生労働省が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定。しかし現場での混乱を避けるため、より具体的な手続きの指針が求められていた。基本となったのは日本救急医学会が07年にまとめた指針で、終末期を「適切な治療をしても死が不可避的な場合」と定義し、積極的な治療を望まない患者の自発的意思が確認される場合、家族が反対しなければ人工換気(人工呼吸器)や人工透析、栄養補給などを中止できるとした。患者の意思が直接に確認できない場合は、家族に患者の希望を推察してもらい、患者にとっての最善策を医療チームと話し合って決めるとしている。