赤血球や白血球などの血液細胞のもととなる血液幹細胞を多く含む、臍帯(へその緒)と胎盤の一部の血液(臍帯血)を採取・保存して、白血病や再生不良性貧血などの治療のために移植すること。現在、移植用臍帯血の凍結保存は、白血病などの治療用に臍帯血を集めて保存する「公的臍帯血バンク」と、本人や家族の病気に備えて臍帯血を保存する「臍帯血プライベートバンク(民間臍帯血バンク)」にて実施している。第三者にも臍帯血を提供する公的臍帯血バンクの運営には国の許可が必要だが、民間臍帯血バンクは目的が異なることから規制がない。しかしここに問題があり、民間バンクで保管されていた契約期間切れの臍帯血が第三者向けに流出していることがわかった。2017年12月、松山地裁が再生医療安全確保法違反などで相次ぎ有罪判決を下した臍帯血無届け移植事件では、医師が販売業者らと共謀し、16年7月~17年4月に移植希望者4人に対して計6回の臍帯血移植を行い、約510万円を得たとされる。その際、国への許可申請の必要がない脳性まひやアンチエイジングを治療目的としたようにカルテを書き換えていた。再生医療については、以前からも効果が実証されていない美容医療に応用されて広まっていたが、iPS細胞研究などで再生医療への期待が大きい中で制度が不十分であることが浮き彫りになった。