RNA型のフラビウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV;hepatitis C virus)が原因となる肝炎。ウイルス感染は輸血のもっとも大きな問題の一つであるが、アメリカではHCVの感染者が400万人にも達するといわれており、その数は実にHIV感染者の数の約4倍にも上るとされている。日本でもキャリアは約200万人に達するとされている。厚生労働省の調査によると、血友病治療以外で非加熱血液製剤の投与が確認された患者のうち、52%がHCVに感染した疑いがあり、30%近くが、現在も感染しているという。非加熱製剤については、投与された血友病患者の約4割がHIVに感染し、その約9割がHCVに重複感染していたことがわかっているが、フィブリノゲンなどの非加熱製剤によるC型肝炎の感染が、血友病患者以外にも広がりをもつ深刻な医療問題であることが、改めてわかった。このウイルスには症状が出るまで長い潜伏期があるため、かかった人が気づかないうちに肝硬変や肝がんになってしまう例が多い。血液検査の推進により潜在感染者の発見につとめるとともに、感染者にはインターフェロンや他の薬剤との併用で、発病の確率を減らすことが重要である。