ピコルナウイルスに属するエンテロウイルスの仲間で、小型のRNAウイルス(ribonucleic acid virus)による感染症。軽い症状を呈するだけの不全ポリオ、無菌性髄膜炎を呈する非麻痺性ポリオ、麻痺性ポリオがある。麻痺性ポリオでは、末梢運動神経の破壊と麻痺が起こり、進行性の灰白髄炎後に起こる筋萎縮がみられる。麻痺性ポリオの筋症状は、麻痺が出現して数日で最大となるが、6カ月以内に回復することがある。ウイルスは通常、経口的に感染し、エンベロープ(たんぱく質の皮膜)がないため、胆汁などによる不活化に抵抗性をもち、腸管で増殖する。抗ウイルス薬はないが、有効な生ワクチン(セービン)または不活化ワクチン(ソーク)があり、十分に多くの人がワクチン接種を受ければ感染予防に大きな力を発揮する。