現行の三種混合ワクチンは、ジフテリア(diphtheria)、百日せき(pertussis)、破傷風(tetanus)の病原菌に対する混合ワクチンである。それぞれの頭文字をとって、DPTワクチンと呼ばれる。ジフテリアと百日せきは、激しいせきや発熱をともなう呼吸器感染症である。また、破傷風は外毒素による中毒性疾患であり、高度になると骨格筋の痙攣(けいれん)などを起こす。これらの3種の細菌感染は、とくに乳幼児に重度の症状を起こすことから、混合することで接種回数を3分の1に減らしたものである。ジフテリア、破傷風に対するワクチン成分は、トキソイドという無毒化した毒素を利用している。百日せきに対するワクチン成分は、不活化ワクチンのものと、成分ワクチンのものとがある。複数の病原体に対するワクチンを、同時に接種する混合ワクチンの代表であり、単に三種混合ワクチンと呼ぶときには、このワクチンをさす場合が多い。