飛沫伝染によってうつる、小児の急性呼吸器系感染症。約10日前後の潜伏期の後、カタル期を経て痙咳(けいがい)と呼ばれる特有のせきが出るようになる。特に乳児では無呼吸発作を起こし、重篤となる。偏性好気性で、グラム陰性の桿菌(かんきん)である百日咳菌が起因菌である。この菌は表面の繊毛により気道粘膜表面に付着した後、増殖し、百日咳毒素という外毒素を産生する。菌は血液の中には侵入しないため、毒素による粘膜上皮細胞の壊死と細気管支周囲の炎症が主な変化である。診断は、喀痰(かくたん)など鼻腔分泌物を採取し、そのグラム染色と顕微鏡検査、核酸増幅検査などが有用である。診断がついたら、できるだけ早期に適当な抗生物質による治療を始めるべきである。