2009年春ごろから、地球上で広まっている感染症。本来は、A型インフルエンザウイルスによって起こるブタの病気であった。ブタの間では、定期的に流行しているものの、通常ではヒトには感染しないとされていた。もともとメキシコでの流行が問題になったが、4月下旬までに、メキシコで感染した2万3000人のアウトブレイクの分析が行われている。その結果、臨床症状が出現する割合(発症率)は、子どもが大人の2倍(15歳以下では61%、それ以上では29%)であった。また、伝染性は季節性インフルエンザよりも高く、過去に出現した新型インフルエンザとの比較では、低いほうの値に近いと推定された。当初は早期ワクチン接種を求める人々の間で混乱も見られたが、10年に入ってからは落ち着いてきている。ただし、新規に開発されたワクチンによる頭痛や熱、めまい、吐き気などの副反応(副作用)の問題があり、接種の希望をくつがえす人も出てきた。そのため、流行に備えて大量のワクチンを確保した欧州主要国では、ワクチン在庫がだぶつくという皮肉な現象が起きている。