激痛をともなう、神経性のウイルス炎症疾患。その多くは、成人になってから起こる。原因は水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスで、小児期にこのDNA(deoxyribonucleic acid)ウイルスにはじめて感染し、水ぼうそう(水痘)という全身の水ぶくれをともなうウイルス感染症を罹患(りかん)していることが要因。健常者では過労やストレス、有病者では抗がん剤や免疫抑制剤などの服用により、免疫細胞が低下して、ウイルスの再活性化が起きるのが原因。好発年齢は20~30代と、50代以降にわかれる。ウイルスが神経節に潜んで、数十年後に再活性化し、胸や腹部、時に顔面、手、足部の神経の走行に沿って帯状に水疱や発疹などの皮膚症状がみられ、患者の訴えとして激しい痛みがある。水疱や発疹は片側のみ。通常、症状は1週間程度続く。この病気の発病者と水痘に罹患していない小児が接触すると、帯状疱疹ではなく水痘を起こすので注意が必要である。神経痛はほとんどの場合、皮膚症状の回復とともに消失するが、時に高齢者において長く残存することがあり、帯状疱疹後神経痛といわれる。治療は抗ウイルス剤の塗布、服用が有効である。痛みの緩和のために、発疹出現3日以内に皮膚科専門医の受診がすすめられる。