食中毒を引き起こす病原性大腸菌の仲間で、腸管出血をともない、さらに尿毒症を合併させる可能性がある細菌。感染後の症状は激しい腹痛、水様性の下痢、血便を特徴とし、とくに小児や高齢者は溶血性尿毒症、けいれんや意識障害をともなう脳症を起こすこともある。菌表面のO抗原により分類されるが、日本ではO157が有名である。2011年にドイツで流行した腸管出血性大腸菌はO104である。これらの大腸菌は、ベロ毒素という赤痢菌由来の毒素たんぱく質を産生する。そのため腎機能障害による全身性臓器障害(尿毒症)が起こり、ときには死に至ることもある。病原性大腸菌は、牛肉などの食肉に混入している可能性が少なくなく、生食には十分な注意が必要である。