夏期食中毒の原因として、サルモネラ菌とともにその大半を占める腸炎ビブリオ菌による感染症。発症までの潜伏期間は約12時間で、激しい腹痛、下痢、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱を主症状とする。腸炎ビブリオ菌は海中に浮遊しており、貝類を中心とした海産物に付着していることが多い。水揚げした後の海産物の保存温度が高いと、菌が急速に増殖し、食中毒を起こす。夏期に魚介類の低温保存が望まれる理由は、この細菌の増殖を抑制するためである。また、腸炎ビブリオ菌に汚染されたまな板や包丁により、野菜などの食品が2次汚染されることもあり、注意が必要である。調理器具の水による洗浄がすすめられる理由はここにある。