アニサキスという寄生虫の幼虫が混入した、刺し身などの生食によって起きる食中毒。アニサキスは、本来はクジラやイルカの寄生虫で、それらが食べるサバ、サケ、アジ、ニシン、タラなど、多くの魚の内臓表面に幼虫が寄生している。養殖魚では、ほとんど検出されない。幼虫の長さは約2ミリで、ヒトの体内では成虫にならず排出される。しかしその際、胃壁を越えようとすると、アレルギー反応が起きる。胃アニサキスの症状は、激烈な腹痛とおう吐で、下痢症状はない。まれに幼虫が胃壁を越えて腹膜腔に入ると、腸アニサキスといわれる腸重積を起こす。アニサキス食中毒を疑った時には、なるべく早い内科受診が必要である。アニサキスは加熱処理(60度で1分以上)、24時間以上の冷凍処理によっても死滅する。生食の有無の確認後に、内視鏡下に胃粘膜上から虫体を除去すれば、すぐに回復する。特効薬はない。