ジカウイルスというRNAウイルスによる感染症。このウイルスは元来、東アフリカにあるウガンダ共和国のジカ森林(Zika forest)のサルから見つかったもので、デング熱などと同じように蚊が感染を媒介する。潜伏期間は3~12日で、成人の発症例では、発熱、発疹、関節痛・関節炎、結膜充血などがあるが、両側手足の末梢神経障害(ギランバレー症候群)、ならびに妊婦に感染した場合のその胎児脳の石灰化による小頭症が最も重篤で注意が必要である。症状が出ない不顕性感染率は、約80%といわれる。蚊が媒介する以外に、性行為による感染例もある。ワクチンおよび治療薬はない。2007年にミクロネシア連邦のヤップ島で流行、13年にはフランス領ポリネシアで約1万人以上の大規模流行が報告されている。また、15~16年にはリオデジャネイロオリンピック直前のブラジルで、妊婦へのウイルス感染により新生児に小頭症が頻発したことが、マスコミによって大きく報じられた。