2010年以降、日本の若年者間で流行している性病。梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、近年までは終息に向かっていたものの、再び拡大し始めたため再興梅毒ともいう。梅毒トレポネーマは、性行為によってヒトからヒトに感染するが、初期症状である痛みの少ない性器潰瘍が発現するには数週間かかる。そのまま放置しても一旦は消失するが、その後、皮疹やリンパ節の腫脹などの症状があり、さらに脳、腎臓、心血管系、骨、眼、リンパ臓器も含めて全身臓器に感染が広がり、数年から数十年の時間経過とともに麻痺などの重篤な病状が出現する。妊婦への感染は、早産・死産、胎児異常を引き起こす。治療にはペニシリンなどの抗生物質が有効なので、早めの受診が求められる。特に初期段階での治療の遅れには、注意が必要である。