飛行機などで長時間狭い座席に座ったままいる時に発症する急性肺動脈塞栓症。同じ姿勢で長時間足を動かさずにいると、足の静脈の流れが悪くなり、血栓と呼ばれる小さな血の塊ができやすくなる。そういった血栓が、足を動かした時に静脈の壁からはがれて心臓へ流され、心臓から更に肺動脈を流れていき、肺で詰まる。これを肺梗塞と呼び、心筋梗塞などと並んで致命的な急病である。当初は特にエコノミークラスの狭い座席を利用している人に多いことから「エコノミークラス症候群」という呼称がつけられていたが、ビジネスクラスや飛行機以外でも長時間足を動かさない状況ならどこでも起こりうる。したがって、誤解を避けるために日本旅行医学会は2002年7月3日、通称を「ロングフライト血栓症」とするように提言した。予防法としては、1~2時間に1度は足を動かすように心がけることと、血液が固まりやすくならないように脱水状態に注意し、十分な水分補給を行うことなどが挙げられる。ただし、アルコールは、利尿作用によりかえって脱水を招くことがあるので飲みすぎには注意が肝要である。