虚血性心疾患の代表的疾患。心臓を養う冠動脈の一部で動脈硬化等による狭窄(きょうさく)が徐々に進行し、ついには血栓などで冠動脈が完全閉鎖を起こし、心臓の筋肉が壊死に陥る心臓病。突発性の激しい胸痛で発症し、重症不整脈、心不全、心破裂等の致死的合併症を伴う。医療体制(冠動脈疾患集中治療部による急性期治療体制の整備)や医療技術(経皮経管冠動脈形成術による発症早期の再灌流療法の技術的進歩)の発展で、発症早期の予後は改善されつつあるが、死亡率は依然として高い。発症早期の治療法は、閉塞した冠動脈の再開通を図るために、まず経皮経管冠動脈形成術による再灌流療法が選択される。内科的薬物療法も開始され、致死的合併症を予防する医療が加えられる。引き続き社会復帰を目指した心臓のリハビリテーションも行われる。心筋梗塞の発症予防や再発予防のためには、動脈硬化の危険因子の除去が最も有効である。