自由診療と保険診療を、一人の患者に対し同一の疾病診療のために同時に併用することを混合診療と呼んでいる。日本の保険診療制度では原則として混合診療を禁止している。保険診療で認められていない治療法や医療行為を併用する場合は、保険が適用されている診療行為に対する費用も全額自己負担となる。厚生労働省の見解として、医療は福祉的平等性が必要であり、自由競争の原理を認めると不平等や不正を生むことにつながる危険性を考慮し、混合診療を原則禁止としてきた。しかし、ここにきて医療技術の急激な進歩、規制緩和の時代の流れ、医療保険財政のひっ迫などから、混合診療の規制緩和の動きが活発化している。従来、高度先進医療、差額ベッド代や予約診療費など13項目に特定療養費制度と呼ばれる混合診療が例外として認められてきたが、2006年10月からは制度の整理・充実を図るべく保険外併用療養費制度へと改称された。新制度では、先進医療など将来保険適用される可能性のあるものを「評価療養」、差額ベッドなど患者の希望によって選択できるものを「選定療養」と区分し、限定的な混合診療を認めている。