日本の医療保険制度を使用しない保険外診療を自由診療と呼ぶ。患者も医師も保険対象外の医療行為を自由に選択できるという意味で自由診療と呼ばれるようになった。全額自己負担になるため自費診療と呼ばれたり、文字通り保険外診療と呼ばれることもある。自由診療の主なものとして、人間ドック、歯科の矯正治療、差額ベッド代などがある。最近では美容整形、一部の高度先進医療、セカンドオピニオン外来、各種健康相談などがあり注目を浴びているが、混合診療禁止という医療法上の問題があり議論の的にもなっている。日本の保険制度は国民皆保険制度が基本であり、世界中で最も評価される医療制度の一つである。国民が誰しも必要十分な医療が受けられることを目指したもので、ほとんどの病気治療が保険で受けられる設計である。しかし、急速に重視されてきた予防医学には対応していない。また、病気治療においても標準的な医療法以外の選択肢が増え、保険がすべてをカバーできなくなってきた。また、美容整形や抗老化医療など生活の質を向上させるための医療の需要も伸び、これにも保険は対応していない。今後、自由診療の分野が広がるか、公平性維持の議論とともに注目される。