心臓震盪とは、胸部に衝撃が加わることで不整脈が出現し、最悪の場合心臓が停止して死に至る症状である。誰にでも起こり得るが、特に胸部の骨格が柔らかい子どもや若年者に多い。骨が柔らかいと骨折が起こりにくい半面、軽い衝撃でも力がそのまま心臓に加わってしまうため、心室細動と呼ばれる致死性の不整脈が起こりやすい。心臓病などの既往歴のない場合でも起こるため、事前に予測するのが難しいことも特徴の一つである。「スポーツ中にボールやバットが当たった」「ふざけあっていて胸を強く押された」などが原因で、突然心臓が止まって倒れるというのが典型的な発症パターンである。完全に予防する方法はないが、野球などの球技や格闘技では特に注意する必要があり、衝撃を防ぐためのプロテクターの装着が勧められる。発症した場合は、そのままでは心臓が停止し死に至る可能性が極めて高いため、緊急の対応が必要である。唯一の治療法が電気ショックを用いた心臓の除細動であり、一般人でも簡単に行える初期治療の装置、AED(→「除細動器」)(Automated External Defibrillator ; 自動体外式除細動器)が普及しつつある。