歯周病が進行すると歯周囲の骨(歯槽骨)が吸収され、結果的に歯肉と歯槽骨が変形してしまう。こうした際には従来より抜歯と入歯という歯周外科処置が実施されてきた。現在では歯周病による炎症によって破壊された組織を再生しようという試みがなされている。その一つに非外科的骨再生療法がある。これまでの再生療法では、人工膜によって骨再生スペースを確保したり(歯周組織再生誘導法 ; GTR)、骨移植を行うといった高度な外科手技を必要とするものが主流であった。これに対して歯科医の深田邦雄氏は、外科的手技を用いない独自の「非外科的骨再生療法(F-METHOD)」を開発した。この治療法では、歯周病で歯周組織が破壊される最大の原因が、歯周ポケットに蓄積した歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌や壊死したセメント質の塊であることに注目して、まず歯根周囲の清潔を保って炎症を抑制する。これにより、歯周病で障害されていた歯槽骨と歯根とを結ぶ歯根膜が再生し、この正常化した歯根膜が歯槽骨のもとになる骨芽細胞を刺激・活性化することにより歯槽骨の再生が促進される。実際の治療では、特製の歯ブラシで1日に5回以上ブラッシングし、ルートプレーニングケアと呼ばれる治療によって歯根を滑らかにして歯根膜を密着させる。なお、喫煙者には効果がない、大規模な臨床試験が実施されていないといった問題もある。現段階では保険診療外のため自費による負担となる。