救急患者受入コーディネーターとは、円滑な救急搬送受け入れ体制を構築することを目的として、地域医療に精通した救急医など、トリアージ役(患者振り分け役)として活動する専門家のこと。救急患者の病状を判断して、より適切な病院と医師のもとへ搬送されるように搬送先の医療機関との調整を行う専門家であり、救急医療に詳しいベテランの医師などが、さらに調整役としてのトレーニングを積む必要がある。国が補助する事業として、厚生労働省が全国の都道府県に協力要請し、2008年4月から、委託を受けた救命救急センター、または周産期母子医療センターなどに順次配置していく。夜間・休日を中心に、救急隊が搬送先の選定に苦慮する場合、消防機関等からの要請に応じて、搬送先医療機関の調整を迅速に行う。一般の救急医療体制とは別の診療体制が必要な周産期医療ネットワークなどもあり、既存の医療機関の間のネットワークとの連携支援が重要といえる。しかし、慢性化する医師不足の問題がある上に、さらにこういった調整役としてのトレーニングを積んだ医師が極めて少ないことや、診療科ごとの縦割り体制による連携の不備も問題視されている。また、大阪府(07年11月から)や奈良県(08年2月から)などのように、緊急搬送が必要な、ハイリスク妊婦の搬送先調整を担う専門医をコーディネーターとして拠点病院に設置する「周産期緊急搬送コーディネーター設置事業」を先行的に開始し、周産期医療体制の充実を目的としている所もあるが、各自治体としては予算計上の厳しさが問題となっている。