大腸粘膜に何らかの原因で炎症が起こり、びらんや潰瘍(かいよう)ができる病気で、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されている。直腸から結腸へと病変が広がっていくのが特徴。血便、下痢、腹痛などが生じ、重症になると発熱や体重減少が現れることもある。発症のピークは20歳代の若年層で、発症後は一度よくなっても再発を繰り返すことがある。原因は、腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常などが考えられているが、明らかとなっていない。また、近年増加傾向にあり、食生活の欧米化による要因が指摘されている。治療はサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤が中心であり、重症化すると大腸を切除する外科的治療が行われる場合もある。過剰なストレスが悪化の要因となるため、心理的な治療も必要となることがある。近年、TNF-αという炎症に関連する分子の作用を抑える治療の有効性、3種類の抗生物質を内服するATM療法(amoxicillin,tetracycline,and metronidazole therapy)の有効性などが期待されており、国内で臨床治験が行われている。