一時的な脳血流の循環障害により、四肢のまひ、感覚障害、構音(こうおん)障害、失語症、視野の消失、記憶障害、認知機能障害などの脳虚血症状が生じる病態である。短ければ数分、長くとも24時間以内には、症状は消失するとされる。ただ、これらの症状の出現をみただけでは、脳卒中との区別がつかないので、すぐに医療機関を受診するべきである。また、TIAは脳梗塞の前兆となることが報告されており、適切な内服治療を開始しなければ、約2割の患者が90日以内に脳梗塞を発症することが報告されている。脳梗塞になれば上記の症状は持続し、後遺症となってくるほか、命の危険もある。脳卒中治療ガイドラインによると、TIAおよび脳卒中の予防のためには、生活習慣病の適切なコントロール、禁煙(受動喫煙も含む)、適切な体重維持と運動の励行などが有効とされている。